HITO病院 様(民間病院) データ二次利用による業務改善・影響度シミュレーションを実現

導入のねらい

電子カルテの診療情報を横断的かつリアルタイムに活用する

電子カルテに蓄積された診療情報を、臨床研究、業務改善、経営判断などに利用する場合、電子カルテ付属のアプリケーションやDPCデータを用いたベンチマークの利用が考えられます。しかし、付属のアプリケーションでは検索対象ごとにインターフェイスが異なる上に、取得できない情報もあります。また、ベンチマークはリアルタイムでの評価が難しく、急性期の分析が主目的であるため、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟を持つケアミックス病院においては、解析したい症例のデータがうまく引き出せないなどの問題があります。そこで、電子カルテの診療情報を横断的かつリアルタイムに活用する目的で、2015年にCLISTA!を導入しました。

運用方法

当院では端末ライセンスの形態で、5台の電子カルテ端末にCLISTA!をインストールして使用しています。業務分析や課題解決のための分析を行う経営企画部門、医事・診療情報管理部門、医療情報部などには各種検索、データ書き出しなどの権限を付与しています。

一方、日常業務で検索テンプレートを用いた定型的作業を行うスタッフには、テンプレート単位で権限を管理し、データ書き出しや印刷の権限は付与していません。電子カルテの端末はインターネットへの接続は行っておらず、書き出したファイルにはパスワードを設定する運用としています。

導入効果

  1. 輸血システムの実施入力記載を評価

    輸血システムへの17項目の観察項目の入力状況をCLISTA!で分析した結果、全17項目の記載がされていたのは3割程度であり、記載漏れ項目数が4項目に集中していることが判明しました。観察項目の入力画面を確認すると、13項目は同一画面にありますが、残りの4項目はページをめくらないと入力できないことが分かりました。そこで電子カルテベンダーに依頼し、スクロールで全項目を入力できるよう改変いただく方針となりました。すでに看護師への啓蒙活動により改善されつつある状況ですが、入力画面の改善でさらに記載漏れが減ることを期待しています。

  2. 管理料、指導料などの算定漏れ防止に活用

    当院では重視する管理料、指導料などにおいて、算定要件とされるカルテ記載項目の入力パターンを整備し、医師事務作業補助者が算定可能な患者の電子カルテ画面へ診察前にパターンを貼り付けることで医師の記載漏れ、医事課の算定漏れを減らすようにしています。具体的には、算定可能な患者を以下の3つに分類して対策しています。

    • ①過去に算定あり:診療予約情報と過去の算定実績を条件に検索して該当患者を抽出し、入力パターンを登録します。このような複数の条件を組み合わせて検索・抽出ができる点や、検索結果画面から右クリックで患者の電子カルテを開くことができる点でCLISTA!は便利であると感じています。(図1)
    • ②過去に算定機会があったが算定漏れ:てんかん指導料を例として示すと、てんかん治療薬を処方している患者で病名、診療科などの算定条件を満たすが、てんかん指導料を算定していない患者を抽出しました。担当医に処方意図を確認し、算定要件をすべて満たす場合には次回の診察に合わせてカルテ記載項目の入カパターンを事前に登録します。これにより算定漏れ患者を「過去に算定のある患者」とすることで継続的に算定できる状態としました。
    • ③初めての算定機会:新規に対象となる患者をDWHで拾い上げる運用は当院でもできていません。医事課担当者や医師事務作業補助者の技能向上で対応しつつ、漏れたものは上記②の方法で拾うようにしています。

    図2の青い矢印(→)に多くの症例が入るようにし、捕捉が容易な「過去に算定あり」患者を増やすよう努めています。このような対策を行ったところ、てんかん指導料の2017年度実績は前年度の約2倍となりました。

  3. 重症度、医療・看護必要度への活用

    ①2018年度診療報酬改定議論に沿ったシミュレーションを実施

    2017年12月時点の中央社会保険医療協議会では、2018年度診療報酬改定における重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の基準について「A項目1点以上かつB項目3点以上」のうち、「診療・療養上の指示が通じる」「危険行動」のいずれかに該当する患者を新たに「重症患者に該当」と扱う、という案が議論されています。この変更が当院にどの程度の影響を及ぼすかを2017年11月の10日間のデータを基に検証しました。上記基準に該当する患者は全体の10.2%で、そこから2016年度基準で重症患者に該当するものを除いても看護必要度を9.8%押し上げる結果となりました。この変更は当院への「追い風」になると予想されます。

    ②入力精度向上

    A項目を中心に、電子カルテに入力された処置オーダと看護必要度の入力内容を比較し、入力精度向上に利用しています。例えば、呼吸ケアであれば酸素吸入、ハイフローセラピー、鼻マスク式補助換気法などの処置入力があるにもかかわらず、看護必要度の「呼吸ケア」が「0」になっているものを拾い上げ、各病棟師長を通じて入力者ヘフィードバックしています。Hファイルを利用するよりも容易かつ頻回に行えるとともにタイムリーな指摘をすることで、看護必要度入力の精緻化につながっています。

CLISTA!の感想、今後の課題

DWHの利用に当たって注意も必要であると思っています。まず、大量の個人情報を扱うため情報セキュリティの確保は重要です。また、カルテに入力されたデータの精度を評価する必要があることや、電子カルテ画面では表示されない「外れ」データも抽出されることもなども、慣れないユーザーには理解しづらい点です。

他業種では業務分析を行う前に、どうやってデータを取得するか?から検討することも多いのではないでしょうか。病院では日々発生するデータが構造化され記録されています。ほしい項目がすべてそろっているわけではないですが、業務改善にこれらのデータを活用しない手はありません。今後の課題として、BIツールなどを導入し、分析時間の短縮を考えていきたいと思っています。

病院様基本情報

【病院名】  社会医療法人石川記念会 HITO病院
【所在地】  愛媛県四国中央市上分町788番地1
【病床数】  257床(2018年1月時点)
【利用アプリケーション】  CLISTA! 統計機能、CLISTA! 検索機能

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