導入の経緯
当院は2014年10月にIT戦略の一環として、それまで単独で稼働していたシステム全てを見直し、電子カルテオーダリングシステムを中核とする病院情報システムを導入しました。
今までの紙運用とは異なり、電子化されたオーダ情報でリアルタイムに情報伝達や確認が出来る仕組みは業務効率のメリットがありますが、それだけでは費用対効果が生まれません。データを蓄積すると共に専門の部門が分析し、業務の改善を行うことで経営貢献する必要があります。
情報システム部門では以前から、病院内にリトルデータウェアハウスを設けて経営貢献したい意向があり、企業と連携して独自にソフト開発をすることも考えていました。
また、以前から統計分析をしていましたが、データの詳細が曖昧な部分があることや、算定上のデータしか扱えなかったことから、電子カルテオーダリングシステムを含めたデータの二次利用に実績がある、医用工学研究所の医療用データウェアハウス「CLISTA!」を導入しました。
CLISTA!の評価
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豊富な導入実績があるCLISTA!は安心して活用できるシステム
牧田総合病院
(上)医事管理部 診療情報管理課
榎本 貴規 様
(下)システム管理部 竹元 基浩 様過去に大規模データウェアハウスの導入医療施設を数多く見てきましたが、データの二次利用の取り扱い方しだいで良くも悪くもなることが分かってきました。このため、どのような仕組みでデータ化されているのか、分析しやすい情報はどのようなものなのかを考えるスキルが病院職員にも必要となります。
今ではパッケージ提供の医療用データウェアハウスとして大々的に展開している医用工学研究所の実績からなる支援が必要不可欠なものとなっています。 -
データ提出作業の負担を大きく軽減
今まではデータ提出のための作業として、書類や部門システムから1件ずつデータを抽出しており、とても効率が悪い状態でした。
今回のCLISTA!導入により、必要な情報を簡単に抽出・活用することで業務の効率化に大きく貢献することができました。 -
システム間の横断したデータを活用して運用の改善・経営貢献
旧システムの名残から医事会計システム用のDWHも検討対象でしたが、IT戦略の中で統計データだけではメリットが少ないことに気付きました。
単体では統計データの情報抽出やカルテ記入漏れ、オーダミスなどを確認することができますが、受付から診察・検査、そして会計までの流れの中で、如何に患者サービスができるか、運用の無駄はないか等、今までは数値化が難しかったものも、システム間のデータを横断的に抽出し分析することで病院運用の改善ができ、統計分析と併せて経営貢献が可能となりました。
導入後の運用
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算定を徹底する取り組みへの活用
当院では「落穂拾い作戦」と呼ばれる取り組みを始めています。
管理加算などの医学管理料や指導料の漏れの改善を徹底する取り組みで、病名や検査結果などを母数として、算定漏れを防ぐためにCLISTA!を活用しています。 -
経営企画室や経営層も利用
情報システム部門で各部門から依頼された帳票を作成しているだけではなく、経営企画室や経営層などでも独自の分析資料をCLISTA!のデータを用いて企画・立案・作成しています。
また、届出関係の書類へ記入するデータの抽出や、在宅復帰率、病床機能報告等にもCLISTA!を活用していると共に、診療科別や医師別の稼働額も定期的に抽出しており、今では病院機能の一部として大きな役割を担っています。
今後の期待として
IT化により情報の見える化ができようになり、入力の漏れやミスを無くすよう徹底することをはじめ、経営戦略の分析データ作成や数値化できなかった患者サービスの分析を今以上に進めていきます。
また、2016年4月のDPC病院への参加に向けた取り組みや、基幹システムとSPDを連携した材料管理等の効率化、地域連携対応なども予定しており、原価を意識したデータ作りや分析が必要となります。
今後は、患者様や職員の動きなどを一元化して、今まで見えなかった部門内業務や建物レイアウトの改善などができるよう、医用工学研究所の支援を頂いてデータ作成を進めていく予定です。病院様基本情報
- 【病院名】 社会医療法人財団 仁医会 牧田総合病院
- 【所在地】 東京都大田区大森北1-34-6
- 【病床数】 284床(2015年12月時点、本院のみ)
- 【利用アプリケーション】 CLISTA!(統計機能)、 CLISTA! SEARCH(検索機能)